CITYママの子育て通信

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無痛分娩を体験して感じたメリット・デメリット

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欧米では主流と言われている無痛分娩(硬膜外麻酔法による分娩)は、日本国内ではまだまだ実施医療機関が限られるものの増加傾向にあり、以前よりも身近になったように感じます。

一方で、無痛分娩の経験者の声には「全く痛くなかった」「和痛分娩だったから痛みはあった」「普通に痛かった」など様々で、まだイメージが沸きにくいのも事実。

これから出産に向けて無痛分娩を考えている方に向けて、私が無痛分娩を体験して感じたメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。

■無痛分娩の体験レポートはこちら■

citymama-news.hatenablog.com

無痛分娩のメリット

実際に無痛分娩を経験してメリットが大きいと感じたものから順にみていきます。

1. 痛みがなく(もしくは少なく)心身ともに母体への負担が少ない

最大のメリットはもちろん「痛みがない」ということ。

それだけで、「陣痛や分娩の痛みが怖い」という恐怖から解放され、「赤ちゃんとあえることはもちろん、お産そのものも楽しみ」というポジティブな姿勢で出産日を迎えることができます。

また、人によっては何十時間にもおよぶ陣痛ですが、長時間も痛みに耐えることによってかなりの体力が消耗されます。私の友人には、子宮口が全開になる頃には力尽きて力むことができず、吸引分娩になったという人もいます。

無痛分娩ではその痛みに耐える必要がない分、体力を出産後すぐにやってくる赤ちゃんのお世話のために温存できます。

実際、私も正午頃に出産しましたが、少しのお昼寝を挟んだ夕方にはすっかり体力も回復し、「母子同室いつでも来い!」くらいの勢い。

翌日からは夜間授乳で睡眠も途切れ途切れでしたが、入院中あまり負担には感じませんでした。

2. お腹の中の赤ちゃんにしっかりと酸素を届けることができる

陣痛への不安や痛みは母体の血管を収縮させるため、赤ちゃんへの酸素の供給を減少させて、赤ちゃんに負担をかけてしまう可能性があります。

無痛分娩ではその影響がありません。

そのため妊娠高血圧症候群や呼吸循環器系の合併症がある妊婦さんに対しては、病院から無痛分娩を勧めるケースもあるようです。

私も、ヨガの呼吸法(鼻から吸って口から出す)を意識しながら、落ち着いて出産することができました。実際にどれだけ効果があったかはわかりませんが、スムーズな分娩の一助になったように思います。

3. 赤ちゃんとの対面を余裕をもって迎えられる

自然分娩で出産した人の中には「痛みと疲労で赤ちゃんとの初対面の記憶があまりない」という声も少なくありません。

一方で、無痛分娩では体力的にも余裕があり、痛みもないために、赤ちゃんがお腹から出てくる瞬間も、目と意識をしっかりとそちらに向けることができ、赤ちゃんが出た時の感覚や、産声までしっかりと記憶に残すことができます。

もちろん、産まれた後すぐに、赤ちゃんを抱っこすることも可能です。

無痛分娩で使用する麻酔は全身麻酔ではなく、眠くならないので、「眠気で意識朦朧としている間に産まれた」なんてことにはなりません。

4. 無駄な力が入らないため、会陰の伸びが良い

自然分娩だと、陣痛に耐える中で無駄な力が入ってしまい、会陰が伸び切っていないタイミングで力んでしまい、会陰が裂けて傷になってしまうといいます。

無痛分娩では、その「無駄な力み、タイミングを誤った力み」がないため、いざ力むべきタイミング以外はちゃんと力を抜くことができるため、会陰の傷も小さいく抑えることができます。

実際、私も(お医者さま曰く)会陰の傷はとても小さく、産後1週間経つ頃には股の痛みも違和感もなくなり、普通の生活ができるようになりました。

 

無痛分娩のデメリット

無痛分娩を選択する上で、主に硬膜外麻酔を使用するリスクを含めたデメリットを理解しておく必要があります。

1. 麻酔チューブが誤った部分に入る可能性(全脊椎麻酔・局所麻酔薬中毒)

無痛分娩では硬膜外腔に麻酔を入れますが、まれに、硬膜外腔内の血管内に麻酔が入ってしまったり、硬膜外腔の奥にあるくも膜下腔に麻酔チューブが入ってしまう可能性があります。

しかしながら、どちらも発生確率は低いですし、少量であれば大きな影響は出にくいため、少量ずつ数回に渡って麻酔レベルの確認をしながら麻酔を投入していくことで、リスクを軽減することが可能です。(病院では通常そのような段階的な少量投与の処置を行います)

2. 微弱陣痛による分娩遷延

麻酔薬の影響で陣痛が弱くなり、分娩の進行が遅れ、陣痛促進剤を使用しなければいけなくなったり、吸引分娩になったりすることがあるようです。

実際に、私も途中で微弱陣痛になり、陣痛促進剤を使用しました。

3. 「いきみ」が感じられないことによる分娩遷延

無痛分娩では子宮口が全開してからの「いきみ」が感じにくなることで思うように力を入れられず、分娩時間が長引くことがあるそうです。

私の場合は、確かに「いきみ」の感覚が捉えにくかった感じはありますが、妊娠前にジムで行っていた「デッドリフト」をイメージして腹圧をかけてみたところ、3回いきんだ所でお腹がスッと軽くなり、赤ちゃんを産むことができました。

分娩時間は1時間足らずと短かったので、無痛分娩だからと言って必ずとも分娩が長時間になるとは限らないようです。

 

無痛分娩を行う産院選びのポイント

実際に無痛分娩で出産に臨む上で病院から色々と説明を受けると、同じ無痛分娩でも産院ごとにスタンスの違いがあることがわかりました。

産院を選ぶ際は、施設の充実度や入院食、母乳育児への考え方などを踏まえて検討すると思いますが、無痛分娩を考えている方は、次の2点も考慮に入れることをおすすめします。

麻酔投薬のタイミングに関する方針

無痛分娩でも、どのタイミングから「無痛」とするかについては病院ごとに方針が異なるようです。

例えば、私の産院では「辛いと思ったら麻酔を入れるの言ってください」というスタンスでした。そのため、自然分娩でのピーク時の痛みに比べると何てことないのかもしれませんが、初期の陣痛を身を以て体験した上で、「これ以上の痛みは我慢したくない!」と感じたタイミングで麻酔処置をお願いしました。

(その時点で子宮口は柔らかくなってきてはいたものの、1cmしか開いていませんでした)

産院によっては、「子宮口が○cmになってから」というような方針の所や、「完全な無痛」を基本スタンスとする所もあるようなので、ご自身が希望する無痛分娩を実現できる産院なのかは見極めた方が良さそうです。

麻酔の投薬量に関する方針

麻酔の投薬量についても、産院ごとに異なり、「無痛」ではなく「和痛」を謳っているケースもあります。

私の産院では、「麻酔処置をする段階の痛みを10とした時に、1〜3程度」の痛みをゴールに麻酔の投薬量を調整していました。

 

リスクがあるのは自然分娩も無痛分娩も同じ

例えば、無痛分娩には「麻酔薬の影響で微弱陣痛になる吸引分娩となる可能性がある」と書きましたが、一方で、自然分娩でも「長時間の陣痛でいきむことができず吸引分娩になった友人」のケースも紹介しました。

リスクがあるのは自然分娩も無痛分娩も同じで、出産そのものは命がけの作業です。

実際に無痛分娩を終えてみて、自分の体力・性格・環境・経済状況といった様々な観点を踏まえて、より良い出産を迎えられるように分娩方法を選択することが大切だと感じました。